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とぼとぼと馬車馬のごとく (1)ダリア

     とぼとぼと馬車馬のごとく(1)ダリア
                                       松里記 9組
 
   我々の世代は、文字通り馬車を知っている。冬の馬橇の音やにおいが思い出せる。それに初夏の馬糞風。そもそも馬糞は汚いものというより貴重な花壇や庭の畑の肥料。落ちていたら拾ってきて(製造されて真新しいのは手づかみとはいかないが)庭の隅に囲っておいたもの。大輪のダリアを植えるときには、直径50~60センチメートル、深さ30センチメートルほどの穴を掘り、まず元肥として、囲っておいた馬糞を土に混ぜ。底に敷き詰める。次いで浅く覆土をして、ダリアの芋を置く、次いでさらに覆土して、ややこんもりと盛る(やたらと固く踏まない)。あとは芽が出るのを待つばかり、だったっけ?なにせ66年も前の事なもので記憶も不正確。22歳で大学を卒業してからは、いわゆる公務員宿舎暮らし。公務員宿舎には原則、庭や花畑はついていない。それでも実際の宿舎の周りにちいさな花畑があるのは、当局のお目こぼしで、だから突然、駐車場か何かのため壊されてしまう。だから(だからを連発してすみません)、公務員宿舎にいる限りお花など植えなかった。だって、突然、知らないうちに 自分の(?)花壇が壊されるのはどうしても耐え難いから。ダリア、特に大輪のダリアが好きな人は、花の咲いている夏のうちに目星をつけていて、秋にダリアの芋を掘り起こすのを見定めて、花壇の手入れをしている人にそっと忍び寄る。「あのうー、つかぬ事をお伺いしますが、お宅、素敵な大輪のダリア、あ、赤紫の美しいの、育てていませんでした?」ここでは、その花の美しさを最大限に褒める。「ええ、赤、白、黄色、赤紫色々ありましたがーーー」「あのうー、よろしければあの赤紫の球根を一本(ここが重要!たくさんといってはいけない)譲っていただけませんか。いや、私のそだてたダリアの球根を少しお持ちしましたので、これと交換していただけません(ここで目線は斜め下から)?」というようなことで、ダリア仲間がダリアの芋のごとく増えていく。

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時は経ち、40年余務めた国立研究所(鋭い人は、おい、お前、公務員の定年は60歳ではないのか?数が合わないぞ!と気づく。実は、途中、国立研究所の多くは、一部の政策研究所を除き、独立行政法人化され、職員すべて、公務員の身分を失った。したがって、役員に原則、定年はない)を離れてどうしても一度、札幌に帰りたくなり、理事を4年で退職。退職の理由は、いい加減疲れたことと、退任数年前より、暑い夏が続き、本当に涼しいところに行きたかったため。勿論、公式には「後進に道を譲る」となる。ともかく、一人で厚別のマンションというアパートの8階の部屋を借り、移り住んだ。3LDKの二部屋は、それまで三ケ所に分散して預かってもらっていた書籍で一杯。なぜ厚別か?娘家族が江別に住んでいたことと、どうしても週に一度くらいは上京する必要があったため。空港千歳線と函館本線の交わるところだから。そのマンションを選んだ理由は、正面に藻岩山が見えるから。ともかく、短い夏、窓を開け放して、涼しいかぜを楽しみ、自転車で孫のへたくそな(普通、フライが上がるとアウトになるでしょう?外野手がトンネルはしないよね。あまりの下手さに広いグランドわきの芝生で寝転んでいたら、「お父さんだけだよ、そんなだらしないのは!」と、娘にどやされた)「少年野球」の応援に行ったり、付近のお宅の花壇を眺めたり(昼間っからぶらぶらと自転車に乗ってうろうろ庭を覗くのは今ならかなりやばい)、自分なりには楽しんでいた。線路近くの花壇(これも当局のお目こぼしかね)のダリアの見事なこと。北国の夏にはダリアがよく似合う!ヒマワリもいいけど、ヒマワリは、なんというか力強い、生命力あふれるところがあり、ダリアは、特に大輪のダリヤは華やかだけどはかないイメージがあると思う。だから、ダリアがいいなんて全く論理的ではないけど。その年の冬は居間のカーテンを開け放ち、遠くから雪雲が近づき、雪が降り始めるのを、酒を片手に2~3時間眺めたもの。これが本当の雪見酒。ただ、夏の終わりごろから、元の職場の次期理事長の声もちらちら。元の職場が嫌いなわけではないけれど、独立行政法人(どこが独立なのか?従属行政法人の間違いだ)の中途半端な構造、22歳から勤務したため、組織の裏の裏まで知り尽くしているいやらしさ、それゆえ組織運営の難しさ、でも、自分自身が長年世話になった組織への愛着、約1600名の職員の顔も浮かぶ。雪見酒の間中、いろいろ考えていた。それにしてあの年の夏は雨ばかりで、寒かったこと。冬は冬で雪が多く、久しぶりに雪を漕いで買い物へ。雪を喜ぶのは子犬と私くらいかしら。(続く)

 (松里記 9組)
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